「思い出のマーニ」は見手を選ぶ

「思い出のマーニ」をみて二週間。
やっぱり、いい映画だと思います。

ただ、あの映画は小さな小さな子どもには無理。
あまりに子どもな大人にも無理。
社交的で、想像力のかけた人にも無理。
大人であっても、愛の不思議さを理解しようとしない人や
人の想いをくだらないと思う人にも無理。
見手を選ぶ映画なんです。多分。

私自身は<輪の外側の人間だった>ので
杏奈の気持ちは痛いくらいよくわかりました。
なので、最初から泣きそうだった。
最後のほうも泣き声をあげてしまいそうで苦しかった…。

マーニ(実はは杏奈の祖母)との不思議な時を愛のなせる業と思える人には
ナウシカやラピュタにひけを取らないいい映画だと感じられると思います。

杏奈を取り巻く人たちの行動もカウンセリングや癒しのステップと
読むことができれば、ひどく傷ついて、自分を表現することも、
自分の本当の気持ちすらもわからなくなっってしまった子供たちに
どう接すればよいかの一端を表現しているのだとわかるでしょう。

エンドロールが終わるまで、席を立つ人はいませんでした。
そんなことは初めてだった。

私の斜め前のカップルが「難しかったね」と言っているのが聞こえました。
女の子二人が、「すごくよかったよね。期待してなかったからかな。」と話してて。

女子トイレでは
「久々に(ジブリ系では)よかったんじゃない。
普通の女の子二人の友情の話かと思ってたんだけど全然違ったよね。
私、(杏奈が持っていた)人形がマー二ーかと思ってたんだけどさ。
杏奈の目の色が(マーニとの血縁という)ヒントだったんだね。
見て、よかったよね~。」
というようなコメントも聞けました。

輪の内側の人間でも、心優しい人ならきっとわかる。
「思い出のマーニ」、おすすめです。

あまりによかったので、私は原作本まで買ってしまいました。