脳貧血と貧血は違うもの
最近の某製薬会社のCMにちょっと驚きました。
貧血のための薬のようですが、
CMで使われているのは、女の人が立ちくらみ?を起こしている場面。
(脳貧血といいたいのでしょう)
こういう間違った使い方をしなくてはいけないということは
こうした程度の正しい知識ですら全然普及していないんだなと思いました。
だからといって、こういうCMを作るのもさらに誤解を広げますから、
売らなくちゃいけない事情はわかるけれど、製薬会社のモラルを問いたいです。
貧血というのは、血液中の血色素(ヘモグロビン)が少ない状態です。
赤血球の中のヘモグロビンが酸素を運ぶので、ヘモグロビンが少ないと
血液は循環していても、身体は酸素不足になるので、
息切れや動悸が起こりやすくなります。
脳貧血(医学用語ではありません)と言われる状態は
脳の循環血液量が一過性に少なくなることで起きるものです。
医学的に言えば起立性低血圧がこの原因にあります。
よく言われる立ちくらみがそうです。
立ち上がった時、重力によって脚や下半身の静脈に血液がたまります。
立ち上がったことで頭の位置は高くなりますが、
心臓に戻る血液の量と心臓から送り出される血液の量が減少して血圧が低下します。
結果的に脳の循環血液量が低下します。
立ち続けることによっても同様に、
重力によって下半身にたまる血液を脳まで押し上げられない状態が起き、
脳の循環血液量は不足します。
これは血圧の維持機能の問題であって
貧血に見られる造血機能に関するものではありません。
俗称は似ていても、脳貧血と貧血は全く違うものであることを
理解してもらえればと思います。